What's Jazz?

まずJAZZとは

 ジャズは今から100年以上前のアメリカの黒人コミュニティーで生まれた音楽で、現在に至るまでロックやラテン、ファンク、ヒップホップなど様々な他ジャンルの音楽やスタイルを取り入れながら進化をし続けてきました。

 おそらく一般的にジャズと言えば、ホーン(サックスやトランペット)、グランドピアノ、ウッドベース(コントラバス)、ドラムそしてスーツを着た黒人の演奏というイメージがある方も多いと思いますが、それは50年以上前のジャズのスタイルで、現在では様々なスタイルのバンド編成、服装、人種に分岐して進化を続けています。

 もともとジャズという言葉は、卑猥な、野蛮な、邪悪なといったネガティブなイメージの言葉から生まれたと言われていて、音楽のジャンルを指す言葉では無かった(と言われています)。 

 当時アメリカで差別を受けていた黒人たちが、自分たちの音楽は白人には真似することのできない崇高な音楽というプライドをもって、技巧を凝らし、複雑に、より難解に進化をしてきたので、ジャズというのは難しい音楽だという認識が一般的になったのではないでしょうか。

(実際にジャズの演奏はロックやクラシックに比べて、それらとは違った軸での難しさがあります。これを解説するには音楽理論の基礎からの話になっていますのでここでは割愛させていただきます)

JAZZの演奏の流れ

 次の譜面はジャズの演奏で使用される一般的なもので、見てわかる通りほとんどコード(アルファベットと数字で表記する構成音の記号)とメロディーしか書いてありません。

 この譜面をもとに5分以上(長いときは20分以上)の演奏をするのですが、いったいどうなっているのでしょうか。

 この譜面を最初から最後まで一周演奏するのには1分もあれば充分です。

 

 まずプレイヤーは譜面に書いてあるメロディーとコードをもとに演奏を始めます。このときリズムパターン(グルーヴ)や細かいアレンジは各プレイヤーのセンスに任されます。

 そしてメロディーを演奏し終わったあと、同じコード進行に乗っ取って各プレイヤーがアドリブでソロ演奏を始めます、

 ソロを演奏する順番などにはそれとなくルールがありますが、基本的にはその場の空気感で演奏をしています。

 全員のソロが終わったらもう一度メロディーを演奏して、エンディングとなります。

 上記のようにジャズの演奏はほとんどがアドリブで、各プレイヤーのセンスやその場の空気感で完成していくので、同じ楽曲であっても二度と同じ演奏が再現されることはありません。

 

JAZZを聴くときのポイント

 ジャズは難解な音楽に思えますが聴くポイントさえ抑えておけば誰でも楽しむことのできる音楽です。

 上記のようにジャズでは譜面通りに演奏するということはまずありません。

 演奏を聴くときにはその楽曲を今回はどのようにアレンジして演奏しているのか、その変化に気が付くことができると一層楽しさが広がります。

 そして、各プレイヤーがどのようなソロをとるのか、そしてそのソロが素晴らしかった場合にはソロが終わるごとに拍手をするとプレイヤーは喜びます。

(このときジャズにおいては、リスナーはシビアな目線で演奏を聴いている場合が多いので、ソロのあとに拍手がないことも普通にあります)

 そして、ソロをとっているプレイヤーだけでなく、その他のプレイヤーがどのようにそのソロを支えているか、どのように演奏に反応しているかを観ることでより演奏を楽しむことができるようになります。

 派手な演奏が得意なプレイヤーや、美しいメロディーを創り出すプレイヤー、タイトでクールな演奏が得意なプレイヤーなど、様々なタイプのミュージシャンの演奏とそのアンサンブルを楽しめるのもジャズの魅力です。

競い合いながら支え合う不思議な音楽

 ジャズは演奏しているプレイヤーがその場の誰よりも上手い演奏をして目立ちたい、他のプレイヤーに勝ちたいといった競い合う気持ちがある半面、その音楽やその空間をより良いものにしようと支え合う姿勢が絡み合う不思議な音楽です。

 ジャズのすばらしさは、人種の壁を超えて素晴らしいミュージシャンであればお互いにリスペクトしながら音楽性を高め進化し続けてきたその姿勢にあるのではないかと思います。